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2010年7月13日火曜日

在りし日の伯爵

・・・それは今より何百年以上も時をさかのぼる~まだ伯爵マルゴが婚姻する少しばかり前の事である。

当時・・・表向きには、欧州のとある辺境地方の " 領主 " でしかなかった伯爵であったが、
実際は不死の身体を持つ~アンデッドの王、の世界を支配するヴァンパイアその人であったのだ!









※ 草木も眠る深い静かな夜・・・マルゴの横たわる寝室に濃い霧と共に伯爵はその姿をみせたのだった。


一方、マルゴであるが・・・他の地方にまでその名が知れ渡るほどの妖艶な美貌で、

かなり遠方の王室などからも、結婚の申し出が届くくらい引く手あまたな状況であったのだ。


・・・その噂を聞きつけた伯爵が、自分が主催する舞踏会に招待し~ふたりは運命の出会いを果たす。


いつものは物静かで穏やかな伯爵なのだが、この時ばかりは・・・

このマルゴに対して、かなり強引なアプローチをかけたと言われており、周囲のものを驚かせた。



この話は、ちょうどその頃・・・まだこの先がどうなっていくのかわからなかった微妙な時期の事である。



そのように、伯爵に見初められたマルゴであったが、まだ正式の返事は保留していた。

マルゴを求める声は、彼だけではなかったし生涯の相手を決めるのだ・・・時間も必要だったのだろう。



~とある静まり返った夜、マルゴは疲れからか・・・ぐっすりと深い眠りに落ちていた。

その状態は、たとえ大きな地震が起きてもすぐには目が覚めないほど。。。であったかもしれない。


そんなマルゴが眠るベッドのすぐそばに、うっすらと霧が立ち込め~次第に濃くなっていった・・・

それはゆっくりと人の形にまとまり、最終的に・・・伯爵の姿を浮かび上がらせた。



伯爵の真の正体は、吸血鬼である・・・これくらいの現象など、彼にとっては造作もないことだろう。

さらに言えば・・・ " チャーム " の能力をつかって、意中の女性を射止めることも簡単であったはずである。


伯爵 「・・・、・・・、・・・・・・・。」


しかし、彼はそれをすることもなく・・・ただ、マルゴの美しい寝顔を眺めているだけだった。

何かと思惑はあったのだろうが~結局、何をする事もなく来た時と同じように霧の中へその姿を消したのだ。



~しばらくして、ゆっくりと身を起こすマルゴ、・・・確かに先ほどまで深い眠りについていた筈なのだが…


マルゴ伯爵さまは、意外と純情な方なのかしら~わたくしは、その覚悟もできていましたのに・・・。」


そう笑顔でつぶやいたマルゴは、ベッドにうつぶせになって寝転び・・・ニコニコと物思いに耽った。

結果的に、この誠実?な伯爵の態度が決め手となり、マルゴは最終的な判断を決意することになる。



そして、この日からそう遠くないある吉日に・・・ふたりは晴れて婚約をする事になったと伝えられている。




・・・つづく?




ナレーション 「~今回は、あの伯爵マルゴの馴れ初めに纏わるエピソードのひとつをお送りしました w


いつから生きているのかさえわからない伯爵の、たった一度の結婚の相手・・・それがマルゴなのです。

一方、そのマルゴも~実は普通の人間ではなかったのですが・・・それはまたの機会にでも ^^;


うちの物語のもうひとつの巨大な軸・・・それがこの伯爵マルゴのふたりを中心に起きているのです。

現在休筆中である「闇の黙示録編」が完結すれば、ふたりにも大きな区切りが起きるのですが・・・ (謎)


ではでは・・・またここで、この時間に~まったりとお会いすることにいたしましょう ♪ 」









※ うちで描いている物語たちは~何百年も続く、伯爵マルゴの " 愛のストーリー " でもあるのです。

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