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2010年7月16日金曜日

湖畔にて。。。

それは、めでたくマルゴとの婚約を終え・・・あとは挙式の日を待つのみとなっていた頃の話であった。

それなりに多忙だった伯爵だが、別荘のある湖畔へとひとりの女性から呼びつけられるという出来事があり、
渋々ではあるのだが、断れず要請のままに赴くこととなった・・・その女性の名は~ " カーミラ " といった。





※ 少女のような無邪気さを残すカーミラに対して、強い態度にも出れず調子が狂ってしまう伯爵である。


ようやく、マルゴから快い返事をもらえて安堵した伯爵であったが、今度は別の問題が勃発したのだ。


その相手は、彼が " 凶悪な魔物 " よりも苦手とする継母であるカーミラで、

そんな彼女が避暑のため訪れている別荘地までやってくるようにと早急の呼び出しを受けたのだった。


カーミラ伯爵の父である " ドラクルゥー " の後妻で、魔女ではあったが~元は普通の人間だ。


実際、伯爵よりも何百歳も若い年齢であり、精神的にも未成熟のままヴァンパイアになってしまったのだ。


このふたりの間には、伯爵の異母妹にあたる " レディ " が存在するが・・・

父、ドラクルゥーはとある魔族封印に関する事件により、灰と化して、二度と還らぬ身となっていた。

※ 伯爵しか知らない事実なのだが、その魔族を己の身体に封印して何処かに安置されているらしい。



・・・そういういろいろな経緯もあって、伯爵はこの天真爛漫な継母のカーミラを苦手としていたのだ。


カーミラ 「お・ま・た・せ・・・ちょっと遅れちゃったかしら、ごめんね ♪ 」


伯爵 「・・・あ、・・・いえ、・・・それで、・・・どういったご用件でしょうか、・・・お母上。」


カーミラ 「もう~っ、ったく " ヘンリー " ちゃんときたら他人行儀なんだから、あたしのことは、

 " かーさま " って呼んでってずっと言ってるじゃない・・・もっと遠慮なく甘えてちょうだいよ w 」


伯爵 「・・・いや、・・・その幼名で呼ぶのはもうやめていただけませんか、・・・母上殿。」


カーミラ 「はいはい、かーさまはちゃんとわかってるわよ、照れてるだけよね~ヘンリー坊やったら、

・・・って、そじゃなくて~あなた婚約したって言うじゃないの!~あたしそんな事聞いてなかったわよ?」


矢のようにまくし立て、伯爵の話などどこ吹く風といった感じのカーミラは、いつだってこの調子だった。

※  この " ヘンリー " という名は、伯爵のいくつかある " 通り名 " であって・・・本名という訳ではない。


カーミラ 「・・・お父さまがお隠れになってからは、このかーさまだけがあなたの親だというのに、

そんなあたしに相談もしないで~こんな大事な話をひとりで決めちゃうだなんて・・・かーさま悲しいわ!」


伯爵 「・・・いや、・・・それは、・・・その、・・・・・・。」


せっかく着込んだ黄金のドレスを気にすることなく、ひざを抱えてまるで子供のようにすねる仕草のカーミラ

闇の帝王・・・アンデッドの王魔物などは恐れもしないが~まことこの継母には打つ手がなかったのだ。


レディ 「あらあら、かーさまったら w ・・・にーさまがホトホト困ってらっしゃるわよ~その辺にしといたら?」


そういって助け舟を出してくれたのは、伯爵の異母妹・・・カーミラの愛娘のレディであった。


レディ 「お久しぶりね・・・おにーさま、この度はご婚約おめでとうございます。」


伯爵 「・・・おぉ、・・・レディ、・・・息災であったか、・・・そなたも来ていたのだな。」


カーミラ 「なによ~レディちゃんまで・・・かーさまだけが悪者になってるじゃないのよ。。。うえーん!」


むらさき色の花模様ドレスに身を包み、ゆったりと姿を見せたのは、俗に言うダンピールレディである。


カーミラ 「あたしだって、ヘンリーちゃんが選んだ相手なんだから祝福したかったのよ・・・でも、でも。。。」


レディ 「そうよね、かーさまは寂しかっただけなのよね・・・大好きなにーさまが勝手に決めちゃったんで、

会えなくなってしまったとーさまの面影を、にーさまに見てしまってるのだもの・・・余計にだと思うわ。」


伯爵 「・・・、・・・そうでありましたか、・・・胸中お察しできませんで、・・・申し訳ありませぬ。」


カーミラ 「べーっだ、レディちゃんたら~そんな事ないわよーっだ、こうなったら、すぐにでも紹介してよね!

ええっと、マルゴちゃんだっけ・・・なんなら、いまからここへ呼んでちょうだいよ~ぷんぷん。」


レディ 「・・・もう、かーさまったら~でも、あたしもすぐに会ってみたいものだわ、

ずーっと堅物で通ってきた~にーさまのハートを射止めたそのマルゴおねーさまって方にね w 」


伯爵 「・・・、・・・、・・・・・・・・・・!」


さすがに " 魔物バスター " として巷では名を馳せている伯爵であっても、

彼女たちふたりの身内の前では・・・本領を発揮することができず、タジタジなのであった。


伯爵そっちのけで進む " ガールズトーク " をよそに、ただ湖畔を見つめていたヘンリーちゃんである。



・・・つづく。



ナレーション 「・・・こうして、お話に登場してきたのはお初になると思います~カーミラレディっす ♪

言葉少なめな伯爵に対し・・・彼女たちは能天気なイメージで今回ビシっと参加していただきました ^^;


さらに今回、もうひとつわかった重要な事があります・・・それは伯爵とその父上の名前の件ですね。

どちらも、俗称であって・・・本当の名前ではないかもしれませんが~まぁそれはそれで w  ←おい!


それと、灰となって滅んでしまったと見られていた父君が、実はそうではなくて・・・封印と化して、

とある強力な魔族を封じ込めているのだという・・・衝撃の事実も新たに浮上してきましたよねぇ~っ (謎)


ではでは・・・またここで、この時間に~まったりとお会いすることにいたしましょう。」








※ まるで姉妹のようなカーミラレディ~まぁれっきとした親子であるのだが見た目にはわかりません w

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