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2010年2月28日日曜日

愛人の子

それは天の悪戯であろうか~何の予告もなしにふたりは出会ってしまい、運命の歯車が動き始めたのだ。

幼い頃、無理やり引き剥がされたという事もあり~ " 不知火 " は母親という暖かい存在を全く知らないが、
どこか直感的に~兄の愛人である " カリン " に惹かれて、その向こうに母の面影を重ねたのかもしれない。




※ ザーボンとは母親が違う訳だが、そのせいもあってか・・・不知火は繊細で傷つきやすい性格だった。


突然の出来事に動揺を隠し切れない不知火と違って・・・やはりカリンはいろんな意味で大人であった。


知識として " バンペイユ " の内情はある程度知っていたし、何しろ自分を愛人として契約してる相手、

・・・そのザーボンの実弟である訳なので、若干複雑な思いはあるが~そこは充分に自制できる範囲だった。


カリン 「せっかくゆっくりされているのに、お邪魔しちゃったみたいね~では、日を改めて出直しますわ w 」


不知火 「い、いや、ちょっと待ってください・・・それじゃあなたが兄さまに叱られてしまう!

兄さまに無断で~ここに勝手に入り込んでたボクがいけないんだ・・・ボクがもう帰りますから。」


カリン 「うふふ、それこそわたしが社長に叱られてしまうわ、そうね~じゃあこうしましょうか ♪

わたしはこれから、頼まれてる用事をするので・・・その時少しだけ手伝ってもらうってのはどうかしら?

ちょっと重いものの移動とかもあって、貴方に手伝ってもらえると随分助かるんだけどなぁ~っ w 」


仕事柄というか、人の扱いには慣れてるカリンであったので、うまく " " を言い包めるのは簡単であった。

その後、ふたりで仲良く用事をしたので~予定してたよりも時間的にかなり余裕ができたのだ。


カリン 「ありがとう不知火さん~おかげで助かりましたわ、では・・・ちょっと奥で用事してきますね。」


短くそう礼をいうと彼女は、いなくなってしまい・・・途端にすることがなくなってしまった不知火

しばらくすると~向こうで、「きゃっ!」という小さな悲鳴が聞こえたような気もしたのだが・・・


程なく、キャビンの奥に引っ込んでいたカリンが、きわどい水着姿で不知火の前へとふいに現れたのだ。


カリン 「こんな格好でごめんなさいね~ジャグジーの掃除してたら、急にホースが外れてしまって、

全身がびしょびしょになってしまったものだから・・・、服が乾くまでこの姿で失礼させてね。」


不知火 「・・・えっ、いやそのボクはちっともかまわないのですが・・・あなたが平気なら問題ありません。」


カリン 「うふふ、お兄さまと違って、とってもやさしい人なのね~ありがとう、不知火さん。」


トロピカルドリンク片手に潮風を受けながら佇むカリンは、不知火にとって、とてもまぶしく映った。

そんなカリンに質問されるがままに~それなりに返事はしていたのだが、実はよく覚えてはいない。



まもなく、洋服も乾き・・・時間に追われるようにカリンは " 微笑 " を残し、社の方へと戻っていった。

~あとには呆然と突っ立っている不知火がただひとり・・・彼女の去っていった方向をみていたのだ。


不知火 「・・・あれが、兄さまの " 愛人 " のカリンさんか。。。まるで、記憶の中にだけうっすらとある

ボクの " 母さま " と一緒にいたみたいなそんな気がしたなぁ~もっとよく知りたい・・・あの人のことを!」


日の暮れたあとも、じっとキャビンに篭り、不知火は怪しい考えに己の身を置くのであった。



・・・つづく。



ナレーション 「・・・おやおや、なんだか危ない方向へと進んでいくような " " こと不知火くんですが、

ある事を除いては、基本、過保護に~まぁ甘やかされて育った面のある不知火は実の母を知りません。


父である先代が元気な間はそれでもよかったのですが、ザーボンが跡を継いでからというものは、

どうもこれまでとはベクトルも狂ってしまったようで・・・ " " の環境もずいぶんと変化していったのです。


こう見えても、それなりに帝王学や護身術は身につけているので、そこは問題ないのですが~^^; (謎)


ではでは・・・またここで、この時間に~お会いすることにいたしましょう。」




※ このロケ地も、事前にチーフがみつけてきてくれた場所でございまして~これがその証拠のSSっす ♪

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